ちくふる

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築古一戸建てに、自由を。

【木造建築】壁の構造を知ろう!

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さあ、ついに【木造建築を知ろう!】シリーズも第三弾。
今回は「壁」です。

 

 

 

柱について

柱の種類

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壁を構成する柱の種類は大きく分けて3つあります。
まずは「通柱(とおしばしら)」。土台から2階(ある場合)を通って屋根まで伸びています。荷重も大きく構造の要となる柱です。

次が「管柱(くだばしら)」。これは各階毎に荷重を受け止めている柱です。

最後が「間柱(まばしら)」。これは壁を支えるためだけの柱ですので、強度メンバーとしてはあまり機能していません。

尚、イラストでは筋交いと間柱が交差しています。もしお互い干渉する場合には、筋交いの方を優先させ、間柱側を削って「逃げ」を作ってあげます。

これらの木材がホゾを掘って接合されていて、さらに抜けないように金具で補強してあります。

柱の素材

ヒノキ、もしくはスギがほとんどです。ヒノキの方が強度もあり、お値段も高いです。
その他にも、家によっては家主のこだわりでいろんな高級木材が使われていることがありますが、特性も様々なので、詳しく知りたい方は下記のHPを見て頂ければと思います。


外壁材

壁材は大きく分けて4種類。

木材

一番多いのがスギ材です。昭和の建物では多く見かけます。表面を黒く焼いた「焼スギ材」というのもありましたが、最近ではあまり見かけませんね。
スギ板材は耐久性もそこそこあり、張り替えが比較的簡単なのでメンテナンス性が良いと言われています。

金属系

トタン、ガルバリウム鋼板などがあります。最近では次世代ガルバリウムと呼ばれる「SGL」というのも出ています(ただし、SGLの外壁材というのはあまり見かけないような)。
安価で施工しやすいのは杉材などと一緒ですが、ここに上げた4種類の中では一番遮熱性が悪いです。

窯業系

窯業系?というと分かりづらいですが、レンガ陶器のように窯で焼いて作ったような素材の板材です。
初期費用が比較的安く防火性もありますが、重くて耐久性が低いのが難点です(一般的な話で、最近では色々と改良されているようです)。

塗り壁

左官作業を必要とする壁です。モルタル、漆喰など。モルタルの上にタイルを貼る、なんてのもあります。
重量は重くなりますが、耐久性、遮熱性、防火性が高いのが特徴。職人の技量がものを言う外壁で、メンテナンスもできれば腕の良い職人さんにお願いしたいところです。 

 壁構造の基本も3タイプ

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中が土壁のタイプ。今回の3タイプ中、一番年代的に古い方法です。「貫」という横板が柱を貫通して通っているところが最大の特徴です。さらに「竹小舞」という、竹で編んだ網の様なものを、藁と土を混ぜた「粗壁」の中にはり巡らしてあったりと、古民家っぽさが残るつくりになっています。これによって、土が崩れてくるのを防いでいます。
イラストでは横胴縁という細い横板を渡してから杉板を張り、上から押縁という、これまた細い板で押さえてありますが、胴縁+杉板のかわりに、

・「中塗り」「外塗り」「仕上げ」と塗り重ねる(塗壁)
・トタンやサイディングを張る

 

といったケースも存在します。前者は古民家ですね。逆に、サイディングは遠くない過去にリフォームした可能性が考えられます。

尚、このタイプの壁は、室内側に柱がコンニチワしちゃってます。これを「真壁」といいます。外側の、柱が見えなくなっているが「大壁」です。

 

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次が、柱の間にスペースがあるタイプ。柱と柱の間に木摺板を渡し、その上に、防水のためコンクリート、あるいは合成樹脂フィルムを張り、ラスを張って、最後にモルタルを塗ります。ラスとは、金属や樹脂製の網のような板材で、モルタルの乗りを良くするものです。イラストでは斜めに張って壁に強度を持たせていますが、木摺板が横に張られている場合もあります(そっちの方が多いかも)。いわゆる「塗壁」です。

モルタルの上にリシン等の塗料を塗る
モルタルの上からタイルを貼る
・断熱材が入っている

といった場合もあります。リシンというのはアクリル樹脂塗料に砂や石を混ぜたもので、手触りがザラッとした表面のアレです。

この壁タイプで断熱材が入っていると、湿気が逃げずに結露してしまい壁が腐ってしまうことがあるので、あまり良いとは言えないようです。

尚、タイル張り(サイディングではない)はモルタルの上にタイルを貼っていきますので、このタイプに分類されます。

 

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こちらは一番近代的(といっても昭和中期?)なタイプ構造用合板(耐力が高い)の上に防水シートを張り、最後に外壁材というのが基本構成。防水シートにはアスファルトフェルトと呼ばれる下張り材を使うことが多いようです。屋根の下地にも使いますね。
板張りの壁の場合、胴縁という木材を介して板設置するのが一般的ですが、直接柱に打ち付けている場合もあります。

 

 

 

 

 

 

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最後に壁体内通気層タイプ。比較的新しい建物の中には、外壁材の内側に20mmに満たない隙間を設けて、外からの熱や雨漏りの侵入防止するとともに、家の湿気を逃がしやすくしてある場合があります。これを「壁体内通気層」といいます。
具体的には、縦胴縁を使って隙間をつくります。そして、防水シートも透湿性のものを使い、室内側にも防湿シートをはります。これで断熱材を挟む構造になっています。
室内側の壁も透湿性の良い壁材を使うことで、機密性はを高くしつつ結露やカビの発生を防げるというメリットがあります。

築古というには新しい物件に多い工法ですが、今後空き家が増えることを考えれば、もしかすると手に入れた家がこのタイプだった、なんてことがあるかも知れないので一応書いときました。

内壁は石膏ボード+α

室内側の壁は多くの場合、洋室=大壁和室=真壁です。
真壁は砂壁や漆喰など、塗り壁で仕上げるのが一般的。
大壁の場合は、石膏ボードの上に接着剤で壁紙クロスが張られていることが多いです。

 さいごに

外から壁の中を確認するのはとても難しいです。

 ここで紹介したのはあくまでも基本的な構造で、例えば壁体内通気層でも漆喰を塗ってあったり、室内側は真壁だけど化粧板が張られていたり、中古物件はなかなかトリッキーです。

壁をリフォームする際には、あまり事前の予想に頼りすぎず、思った構造と違う場合には臨機応変に対処できる「心の余裕」が必要かもしれません。